「くりすます…でございますか?」


きょとんとしながら…だがやはり雅に、銀は首を傾げる。


「そうそう。望美にプレゼントでもしてやったら、きっと喜ぶぜ。あぁ…」


プレゼントってのは贈り物のことだ…と付け加え、将臣は再び口を開く。


「もし望美にやるとしたらあの辺がいいかもな。恋人には…」


銀の耳元で、将臣はぼそぼそと話し始める。


ふむふむ…と、銀は真剣に耳を傾けていた。














Air














「うわぁ…冷えるね〜」


白い息を吐きながら、望美は銀を見上げる。


「こんな時間にお呼びだてしてしまい、申し訳ございません。ですが…」


どうしても神子様と二人きりで過ごしたかったのです      と、
銀は幸せそうな笑みを浮かべる。


その微笑みが嬉しくて…だが照れくさくて、望美は頬を赤らめて俯いた。


「神子様、寒うございますか? それとも…」


ふわり…と、望美を後ろから優しく包み込む。






      照れておいでなのでしょうか?






耳元で囁かれ、望美はますます頬を赤らめる。


「…もう…」


「申し訳ございません。あまりにもお可愛らしくて…」


謝っている言葉とは反対に銀の顔には余裕があって、
望美は微かに頬を膨らませる。






銀は大人で、たくさん余裕がある。

それに比べて、自分は子供で…余裕など全然なくて。

置いていかれたような、そんな気持ちになってしまう時があるのだ。






「神子様?」


気付くとすぐ目の前で銀は自分を見つめていて、望美は再び頬を染めた。


「し…銀、顔…近いよ」


「神子様のお顔を、近くで拝見したかったものですから…」


悪びれた様子もなく、銀はにっこりと微笑む。


望美は諦めたように一息吐くと、空を見上げた。






雪はちらちらと舞っていて、頬に触れては溶けていく。

吐き出す息はとても白くて寒いのだけれど、
大きな腕の中に包まれた身体はとても暖かくて。






「…大人になりたいなぁ」


ぼそりと、望美は呟く。


「銀と並んでもおかしくないような、大人な女の人に…早くなりたい」


「神子様は、今のまま…十分に魅力的でございます」


「今のままじゃ…だめなの。銀みたいに大人の余裕もないし、ずっと子供っぽいし…」


少しずつ望美の声は沈んでいく。


少しでも銀につりあう女(ひと)になりたい…と、望美は顔を俯かせた。


そんな望美の姿を見て、銀は苦笑を漏らす。


「余裕などございません。神子様を想うときは…」






   いつも我侭な子供のようになってしまうのです。






耳元で囁き、銀は望美の身体を一層強く抱き締めた。


「こうしている間も、
この腕を離したくない…と、この瞳に私だけを映して欲しい…と、そう思ってしまう」






この指も、この唇も、私だけのものに出来たなら。






銀は望美の左手にそっと己の指を絡め、
自分を見上げたその桜色の唇に口付けを落とした。


触れるだけの唇はくすぐったくて。


だが…なぜか触れた部分がとても熱くて、望美は頬をより紅潮させる。


「あの…」


望美は、真っ赤になった自分の顔と銀の言葉に戸惑ってしまう。


恥ずかしくて…だが嬉しくて      


「今日は、神子様の世界では『くりすます』と呼ばれる聖夜なのだと伺いました」


「あ…うん」


「本当は、神子様に贈り物をしたかったのですが…用意をすることが出来なかったのです」


「そんなの全然良いよ! 気持ちだけで、十分嬉しい…」


申し訳ございません…と、銀は絡ませた望美の手に唇を寄せた。


冷たくなっていた手に銀の熱い吐息がかかり、その唇は薬指に触れる。


「っ…銀…っ?」


指の付け根にそっと口付けを落とし、銀はふわりと微笑む。


「神子様。どうか…元の世界へと戻られる際は、どうか私も共にお連れください。
その時はきっと…」






      この愛らしい指に、神子様のように輝く指輪を。






ふわり…と望美の唇に降ったのは、甘く絡む…優しい口付け。












空からは降るのは、真っ白な結晶。

白い聖夜に、甘く熱い口付けを    
















が…頑張ったのですが…! クリスマスか??甘いか??みたいな感じになっちゃいました(汗)
無理やり〜ですね。すみませ…!(土下座)

で、そんな感じなので微妙な続きを…。
















「そういえば、クリスマスのこと…誰に聞いたの?」


「将臣様、でございます。
神子様の世界では、恋人には指輪を贈るものだと伺いまして…」


恋人には指輪。


間違いではないが、将臣も恥ずかしいことを…と望美は思う。


「将臣様は、神子様のことをよくご存知なのですね」


「まあ、幼馴染だから…」


「…私にも、もっと神子様のことを教えて頂けますか?」






      
将臣様ではなく、私だけに。






ふわり…と望美の身体を抱き上げ、銀は望美の部屋へと向かう。


「あ…あのっ、銀…っ」


「教えて…頂けますか? 神子様の全てを…」


銀は満面の笑みを望美に向ける。







恋人たちの、甘い夜             






















あれ? 兄弟そろって同じパターンに(笑)
将臣に、微妙に嫉妬してる図が書きたかったんですよね☆
えへ☆(何)


















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